個人再生を利用すると借金を元本から大幅に減額することができますが、それでも全ての借金がなくなるというわけではないです。
個人再生には最低でも弁済する必要がある金額がある程度決まっており、その基準額が最低弁済額になります。
個人再生にには「最低弁済額基準」「清算価値保障原則」「可処分所得」という3つの要件があり、まずはこれらを簡単に解説しようと思います。
個人再生の借金の減額幅はこれらの基準によって違ってくるので、個人再生でどの程度の借金が減るのか知るためにはこの3つの基準を理解する必要があります。
個人再生の最低弁済基準額と免除率
借金額 | 最低弁済基準額 |
0円~100万円 | 全額 |
100万円~500万円以下 | 100万円 |
500万円~1500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1500万円~3000万円以下 | 300万円 |
3000万円~5000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
個人再生の最低弁済基準額を表にまとめると上記のようになります。ちなみに住宅ローンの残債は除いての計算になります。
最低弁済額は個人再生であらかじめ決められた借金の減額幅のようなもので、これを基準にして個人再生での借金の減額幅が決まっていきます。
こうして見ると借金額が多ければ多いほど減額幅が大きいということがわかります。
おそらく多くの方は借金が1500万円以下での手続きだと思うので、借金総額が5分の1というケースが多いかと思います。
借金が3000万円を超えてくると借金が10ぶんの1まで減額されるので、5000万円の借金が500万円まで減ることになります。
ただ上記の表の通りに借金が減額されるとは限りません。清算価値も考えていく必要があります。
個人再生の清算価値とは
個人再生では必ずしも最低弁済基準額通りに借金が減額されるというわけではないです。それは人によって持っている資産が違うからです。
資産が持っている方の場合だと、その資産を無視して一律借金が減額されるということはなく清算価値という、手持ちの資産を全て現金化した場合の金額も考慮されることになります。
具体的な例をあげましょう。
清算価値の具体例
80万円の時価がある自動車を保有していて現金を70万円保有しているケースで借金額が400万円ある状況で個人再生するとします。
この場合の清算価値は80万円+70万円=150万円ということになります。
個人再生では「清算価値が最低弁済額を上回る場合、清算価値が最低弁済額になる」という決まりがあります。
そのためこのケースだと借金が400万円なので最低弁済額が100万円、清算価値が150万円ということになるので、150万円が最低弁済額になります。
つまり資産があるとその分だけ借金の減額幅が小さくなる可能性があるということです。
清算価値が優先されるのは清算価値保障の原則のため
清算価値保障の原則とは、個人再生では債務者は清算価値以上の返済を債権者に対して保障するという原則です。
仮に500万円の価値がある高級車をもっているのに、500万円の借金を個人再生で100万円まで減らしてもらうことができたら、高額資産をそのまま残して借金を大幅に減額できることになってしまいます。
そうなってしまったら個人再生を悪用するような人も出てくる可能性があるので、非常に重要な原則と言えると思います。
ただ借金の減額幅が減る可能性があるとしても、自動車などの高額資産をそのまま残せる可能性があるのは十分大きなメリットだと思います。
自己破産すると価値が20万円以上の資産は問答無用で没収されてしまうので、そういった意味では最低限必要な資産を残しながら大幅に借金を減額できる可能性があるので、十分メリットのある手続き方法だと思います。
しかし基本的に高額資産があるような方は個人再生を利用することはあまりないと思うので、多くの場合は表にある最低弁済基準額が用いられると思います。
給与所得者等再生の最低弁済額はさらに基準が増える
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続き方法があります。
小規模個人再生の借金の減額幅は、最低弁済基準額と清算価値によって決められることになりますが、給与所得者等再生の場合だと、最低弁済基準額と清算価値と可処分所得の3つの基準によって最低弁済額決まります。
具体的には収入から最低生活費を差し引いた可処分所得の2年分くらいが可処分所得の基準になります。
再生計画案の提出前の2年間の債務者の収入の合計から所得税額を控除した額を2で除して、その額から再生債務者および扶養を受けるべき人の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を控除した額に2を乗じた額が用いられることになります。
とは言っても画一的にこういった条件に当てはめるわけではなくて、就職先の変更によって年収が変わったりした場合にはまた違ってきます。
分かりにくいかもしれないので大雑把に説明すると、可処分所得の約2年分を3年間で返済するという感じをイメージすると分かりやすいかもしれないですね。
給与所得者等再生では、最低弁済基準額と清算価値と可処分所得の額で、最も高額になるものが最低弁済額になります。
個人再生計画案の弁済方法と期間について
個人再生の再生計画案で弁済期が3ヶ月に1回以上到来する分割払いによるとされています。
返済期間は、原則として再生計画認可決定の確定日から3年後の日の属する月中の日、特別な事情があるときには5年を超えない範囲内で3年後の日が属する月の翌月の初日以降の日とされているみたいです。
こうして見るとちょっと分かりにくいと感じる人も多いかと思いますが、具体的には通常の場合には3年間、特別な場合には5年間での返済が必要になってくるということです。
ただ債権者の同意があれば話は別です。
個人再生の借金減額幅は無料相談で確認しよう!
個人再生を利用する場合には、最低弁済基準額や清算価値、可処分所得などの色々な基準によって借金の減額幅が決まっていきます。
また小規模個人再生を利用するか、給与所得者等再生を利用するかによって、最低弁済額で用いられる基準も違ってくるので、手続きは結構複雑です。
そのためどの程度の借金が減額されるのか自分ではなかなか判断できないという方も多いと思います。
そのため個人再生で具体的にどれくらいの借金が減らせるのかということについては、弁護士事務所がやっている無料相談を利用して金額を算出してもらうといいと思います。
当サイトでは個人再生を含めた債務整理手続きに関する無料相談を行っている弁護士事務所や司法書士事務所をまとめているので参考になると思います。
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