
任意整理を検討しているとき、多くの人が気になるのが「スマホはどうなるのか」という問題です。
- 任意整理をしたら、今のスマホは止まってしまうのか?
- 機種変更のときに分割審査は通るのか?
- MNP(乗り換え)をするときに不利にならないか?
スマホは仕事や連絡手段、本人確認(二段階認証)などにも使われるライフラインです。ここで判断を間違えると、「借金問題は軽くなったのに、生活が一気に不便になった」ということにもなりかねません。
結論からいうと、任意整理をしても今使っているスマホがいきなり止まることは基本的にありません。
ただし、
- 端末代(割賦)が残っているかどうか
- 携帯会社の債務を任意整理の対象に含めるかどうか
- 任意整理後に新規で分割審査に申し込むかどうか
によって、機種変更やMNPのしやすさは大きく変わってきます。
この記事では、「任意整理とスマホ」の関係にしぼって、分割審査・機種変更・MNPの注意点を分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 任意整理をしてもスマホがすぐ止まらない理由
- 任意整理後にスマホの分割審査が通りにくくなる仕組み
- 端末代の残債がある場合の注意点(携帯会社を対象に含めるかどうか)
- 任意整理後の機種変更・MNPでやってはいけない行動
- 現実的にスマホを維持するための選択肢
任意整理をするとスマホはどうなる?まず押さえるべき3つのポイント
最初に、任意整理とスマホの関係で誤解が多いポイントを整理しておきます。
任意整理しても現在のスマホは止まらない
任意整理をしたからといって、今使っているスマホや電話番号が即日ストップすることはほとんどありません。
- 任意整理は、主に「借金の返済条件(利息・返済期間など)を見直す手続き」
- スマホの通信契約そのものを強制的に解約する手続きではない
そのため、任意整理の手続きを進めている間も、基本的には今まで通りスマホを使い続けることができます。
契約中の通信会社に未払いがあると状況が変わる
注意が必要なのは、すでに携帯料金や端末代の未払いがあるケースです。
- 長期の滞納がある
- 何度も料金督促が届いている
といった状況の場合、その通信会社を任意整理の対象に含めるかどうかで、今後のスマホ利用や機種変更のしやすさが変わります。
この点は、後ほど詳しく解説します。
信用情報のブラック登録で「新規の審査」が厳しくなる
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラック)が登録されます。
すると、
- クレジットカードの新規作成
- カードローンの新規申込み
- スマホ端末の分割払い契約
などの「新しい審査」が通りにくくなります。
つまり、今のスマホは使えるが、新しい分割契約は難しい、というイメージです。
任意整理後のスマホ分割審査|どこまで影響がある?
任意整理後のスマホで一番問題になりやすいのが、端末の分割審査です。
端末の分割審査が通らない理由(信用情報のブラック期間)
スマホの端末代を「24回払い」「36回払い」などで契約する場合、実質的にはクレジット契約となるため、各社は信用情報を必ずチェックします。
- 任意整理をした事実
- 他社での延滞履歴
などが記録されていると、返済能力に不安があると判断され、分割審査で落ちる可能性が高くなります。
分割が通らない期間の目安(任意整理の完済から5〜7年)
一般的に、任意整理の情報は完済してから5年程度は信用情報に残ると言われています。
実際には、
- 和解成立〜完済まで:返済中の事故情報が継続
- 完済後:一定期間を経て情報が順次削除される
という流れになるため、任意整理の完済から5〜7年くらいは分割審査が厳しいと考えておくと安全です。
「審査が甘い」と言われる会社でも通らないことがある
ネット上では「この会社は審査が甘い」といった情報も見かけますが、
- 審査基準は公開されていない
- 一人ひとりの状況(延滞歴・他社借入状況など)が違う
ため、他人が通ったからといって自分も通るとは限りません。
むしろ、何度も審査に落ちるとその履歴も残ってしまうため、無闇に申し込みを繰り返すのはおすすめできません。
なお、債務整理後のスマホ・携帯の購入や機種変更についての全体的な考え方は、こちらの記事も参考になります。
端末代の残債がある場合はどうなる?任意整理との関係を徹底解説
次に、端末代(割賦)がまだ残っているケースについて見ていきましょう。
端末代が残っていてもスマホは利用停止にならない理由
分割払い中の端末でも、任意整理をしたからといって、その瞬間に利用停止になるわけではありません。
- 端末代は「割賦契約」、通信は「利用契約」として扱われる
- 任意整理は、主に「返済条件」を見直すための交渉
そのため、きちんと支払いを続けていれば、基本的にはこれまで通り利用可能です。
ただし携帯会社を任意整理の対象に含めた場合は注意
注意したいのは、携帯会社の債務(端末代・滞納料金など)を任意整理の対象に含めるかどうかです。
- 対象に含めた場合:携帯会社は「債権者」となる
- 将来的に同じ会社での新規契約・分割審査が厳しくなる可能性が高い
といったデメリットがあります。
とはいえ、すでに大きな滞納がある場合には、他の債権とまとめて整理した方がトータルでは楽になるケースもあります。
このあたりは、収支状況を踏まえて弁護士・司法書士と相談しながら決めるのが現実的です。
割賦代・通信料金を「対象に含める人」「含めない人」の違い
ざっくり言うと、次のようなイメージで考えると分かりやすいです。
- 対象に含める人:すでに長期滞納しており、自力で追いつく見込みがない
- 対象に含めない人:多少遅れていても、近いうちに追いつける/今後も支払える
どちらが正解というよりも、「今後もその会社を使い続ける予定かどうか」も含めて総合的に判断する必要があります。
なお、分割審査や機種変更のタイミングを考えるうえでは、信用情報の仕組みを知っておくことも大切です。
➡ 信用情報(ブラック)に載るとどうなる?事故情報の仕組みと回復の目安
任意整理後の機種変更はできる?タイミングと注意点
「そろそろ機種が古くなってきたけれど、任意整理後でも機種変更して大丈夫?」という相談もよくあります。
任意整理直後は「分割NG」なので機種変更は基本おすすめしない
任意整理直後は、前述のとおり分割審査が非常に通りにくい時期です。
無理に機種変更をしようとしても、
- 分割審査に落ちてショックを受ける
- 申込み履歴だけが信用情報に残る
といったデメリットの方が大きくなりがちです。
このタイミングでの機種変更は、よほどの事情(故障・破損など)がない限り避けた方が無難です。
一括購入なら可能。ただし大手キャリアと格安SIMで対応が異なる
現金やクレジットカードなどで端末を一括購入する場合は、分割審査が走らないため、任意整理後でも購入自体は可能なケースが多いです。
- 大手キャリア:店舗やオンラインでSIMフリー端末を一括購入 → 既存回線で利用
- 格安SIM:家電量販店・中古ショップなどで端末だけ購入 → SIMを差し替える
といった方法があります。
審査落ちを避けたいならやってはいけない行動3つ
任意整理後、機種変更を考えるときに避けたいNG行動は次の3つです。
- 短期間に複数社へ分割審査を申し込む
- 支払いが苦しいのに高額ハイエンド機種を狙う
- 料金の支払いをうっかり遅延させてしまう
特に料金の延滞は、任意整理とは別に信用情報を悪化させる原因になります。
遅延損害金や延滞の影響については、こちらの記事も参考にしてみてください。
MNP(乗り換え)はできる?任意整理後のよくある誤解
「任意整理をしたらMNPは無理ですか?」という質問もよくあります。
「MNP=審査落ち」ではない(審査対象は端末代と料金未払い)
MNP自体は「番号そのままで乗り換える仕組み」であり、任意整理をしたからといって自動的にNGになるわけではありません。
実際には、
- 乗り換え先で新たに端末分割を組むかどうか
- 現在の会社に料金未払いがないか
といった点が重視されます。
今使っている会社に未払いがある場合のMNPリスク
現在契約している会社に料金の滞納がある状態だと、
- MNP予約番号を発行してもらえない
- 強制解約扱いになり、今後の契約が難しくなる
といったリスクがあります。
MNPを検討するなら、まずは未払いを解消しておくことが基本です。
乗り換え先の審査ポイント(端末分割・料金滞納の有無)
乗り換え先では、
- 端末を分割購入するか → クレジット審査あり
- SIMのみ契約で端末は自前か → 審査は主に本人確認&料金支払能力
といった違いがあります。
任意整理後は、「端末は自分で用意してSIMだけ契約する」方が通りやすいケースも多いです。
任意整理後のスマホ契約で“絶対にやってはいけないこと”
ここから先は、任意整理後に後悔しないためのNG行動をまとめておきます。
審査に落ちまくる時期に無申込みを繰り返す
ブラック期間中は、どうしても審査が厳しくなります。
この時期に、
- 「通るまでチャレンジ!」と短期間に何社も申し込む
と、申込み履歴だけが増えて逆効果になることもあります。
どうしても必要な場合を除き、むやみに申込み回数を増やすのは控えましょう。
料金滞納でさらに信用情報を悪化させる
任意整理後は、「これ以上信用情報を悪化させないこと」がとても重要です。
スマホ料金の滞納は、
- 携帯会社からの社内ブラック
- 信用情報機関への延滞登録
などにつながり、将来の契約に大きく響きます。
口座振替やクレジットカード払いなど、支払い忘れを防ぐ方法を検討しておきましょう。
家族名義に頼り続ける(後で契約できなくなる原因に)
どうしても自分名義で契約できない場合、一時的に家族名義で契約するケースもあります。
- 今後もずっと家族名義に頼り続ける
- 支払いが遅れて家族の信用情報まで傷つけてしまう
といったリスクもあります。
あくまで「一時的なサポート」と考え、将来的には自分名義に戻せるよう、返済計画とあわせて考えておきたいところです。
任意整理後にスマホを使い続けるための現実的な選択肢
ここまでの内容を踏まえ、任意整理後でもスマホ環境を維持しやすい現実的な選択肢を整理しておきます。
端末は一括購入+格安SIMへの乗り換えが安定ルート
もっともシンプルなのは、
- 端末はできるだけ安価なものを一括購入(新品または中古)
- 通信費は格安SIMなどで抑える
という方法です。
分割審査を避けながら、毎月の固定費も下げられるため、任意整理後の家計との相性も良い選択肢です。
中古端末を購入して回線だけ維持する方法
最近は、中古ショップやフリマアプリなどで、状態の良いスマホを比較的安く購入できます。
- 今の回線はそのまま維持
- 端末だけ中古で買い替え
とすることで、分割審査に頼らずにスペックアップすることも可能です。
※中古端末を購入する場合は、「SIMフリー版」または「自分が使う回線のバンドに対応した機種」を選ぶことが重要です。対応バンドが合わない端末だと、通信が不安定になる場合があります。
MNPせず現行キャリアを維持するとリスクが低い場合もある
料金面だけ見るとMNPがお得に感じられますが、任意整理直後は、
- 乗り換え先での審査リスク
- 端末分割が通らない可能性
も考慮する必要があります。
今の会社で大きなトラブルがないのであれば、無理にMNPせず現行キャリアを維持するという選択も、状況によっては十分アリです。
任意整理そのものに迷っている場合は…
「スマホが心配で任意整理を決断できない」という方も少なくありません。しかし、借金の返済が限界に近い状態では、いずれ通信費の支払いも厳しくなります。
任意整理に踏み切れない心理や決断前に知っておきたいポイントは、こちらの記事も参考になります。
任意整理後のスマホ契約に関するよくある質問(FAQ)
Q. 任意整理をすると、今使っているスマホはすぐ止まりますか?
A. 任意整理をしたことが理由で、いきなりスマホが止まることは基本的にありません。ただし、すでに料金を長期滞納している場合や、強制解約手続きが進んでいる場合は別問題です。
現在の支払い状況が不安な場合は、早めに契約状況を確認しておきましょう。
Q. 任意整理後、いつになったらスマホの分割審査に通るようになりますか?
A. 一般的な目安としては、任意整理の完済から5〜7年程度と言われています。
ただし、他の延滞履歴や借入状況などによっても変わるため、「この年数なら絶対に通る」とは言い切れません。
どうしても必要な端末は、一括購入や中古端末の利用も選択肢に入れておきましょう。
Q. 任意整理をした携帯会社とは、もう二度と契約できませんか?
A. 絶対に無理とは限りませんが、社内の記録(社内ブラック)が残る可能性が高いため、同じ会社での新規契約や分割審査が厳しくなることが多いです。
今後もその会社を使い続けたいかどうかは、任意整理の対象に含める前に慎重に検討しておきたいポイントです。
Q. 任意整理後にスマホ料金を滞納してしまった場合はどうなりますか?
A. スマホ料金の滞納は、任意整理とは別に新たな延滞情報として登録される可能性があります。結果として、将来の審査にさらに悪影響が出ることもあります。
家計が厳しいときは、格安プランや格安SIMに切り替えて、まずは「遅れずに払える金額」に調整することが大切です。
Q. 任意整理後でも格安SIMは契約できますか?
A. 格安SIMは端末分割を前提としていない会社も多く、端末を自前で用意できれば任意整理後でも契約できるケースは多いです。支払い方法や本人確認で問題がなければ、料金を抑えつつスマホ環境を維持しやすい選択肢といえます。
ただし、料金の支払い遅延があれば格安SIMであっても契約が難しくなることがあるため、「遅れずに払える金額」の範囲でプランを選ぶことが重要です。
まとめ|任意整理後のスマホで最も重要なのは“審査の仕組み”を理解すること
任意整理をしても、今使っているスマホや電話番号がすぐに使えなくなるわけではありません。
ただし、
- 信用情報への登録によって、新規の分割審査が厳しくなる
- 携帯会社を任意整理の対象に含めるかどうかで、今後の契約しやすさが変わる
- 任意整理後の料金滞納は、さらなるマイナス要因になる
といった点はしっかり押さえておく必要があります。
スマホは、仕事や生活の基盤となるインフラです。「どのタイミングで何をしてはいけないか」さえ理解しておけば、任意整理後でも十分にスマホ環境を維持できます。
借金の問題を放置して通信費まで支払えなくなる前に、スマホと家計の両方を守れる選択を検討してみてください。
任意整理をきっかけに生活を立て直した人の実例は、次の記事でも詳しく紹介しています。
➡ 【債務整理で人生は変わる】借金から再スタートした人たちの実例と復活ストーリーまとめ





































