
債務整理をすると、「もう賃貸の入居審査には通らないのでは…」と不安になる方がとても多いです。
- 債務整理をすると賃貸審査は落ちやすくなるのか?
- 保証会社は信用情報(ブラック)をどこまで見ているのか?
- 家賃審査で重視されるポイントは何なのか?
結論からいうと、債務整理をしていても賃貸審査に通る人はたくさんいます。入居審査で見られているのは、「過去の借金」そのものよりも「これから家賃を支払っていけるか」という点です。
この記事では、債務整理後の賃貸審査にしぼって、保証会社の仕組み・家賃審査の基準・落ちないためのコツを分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 債務整理後でも賃貸審査に通る人が多い理由
- 保証会社の審査の流れと、信用情報がどこまで影響するのか
- 家賃審査の「収入の◯倍」「職業」の考え方
- 審査に落ちやすい人の共通点と、避けたいNGポイント
- 通りやすい物件タイプ・探し方・準備しておきたい書類
債務整理後でも賃貸審査は通る?基本の仕組みをまず理解する
まずは、賃貸の入居審査がどのように行われているのか、ざっくり把握しておきましょう。
賃貸審査は「信用情報」よりも「支払い能力」を重視する
賃貸の入居審査で一番重視されるのは、「これから家賃を滞納せずに払えるかどうか」です。
- 毎月いくらの収入があるのか
- その収入に対して家賃が高すぎないか
- 勤務先・勤務形態は安定しているか
といった点がチェックされます。
もちろん債務整理の影響がゼロとは言えませんが、「借金があるから落ちる」「債務整理歴があるからNG」といった一発アウトのような審査ではありません。
債務整理の情報があっても通るケースが多い理由
賃貸審査では、すべての保証会社が信用情報機関を細かくチェックしているわけではありません。中には、
- 自社の取引履歴(過去の家賃滞納など)を重視する会社
- 信用情報を参照せず、年収・職業・勤務年数などで判断する会社
もあります。
そのため、債務整理をしていても「収入と家賃のバランス」が妥当であれば普通に通るケースが多いのが実情です。
審査の流れ(管理会社 → 保証会社 → 大家)のイメージ
一般的な賃貸審査の流れは、次のようなイメージです。
- 入居申込書に、氏名・年収・勤務先などを記入して提出
- 管理会社が内容をチェックし、保証会社へ審査を依頼
- 保証会社が家賃の支払能力などを審査
- 必要に応じて大家さんが最終判断
このうち、実質的な審査の中心となるのが保証会社です。次の章で詳しく見ていきましょう。
保証会社の審査はどう行われる?ブラックでも通る理由を解説
「保証会社の審査に落ちた」と聞くとドキッとしますが、仕組みを知っておくと対策が立てやすくなります。
保証会社は信用情報を参照しない場合も多い
保証会社といっても、
- 信販系(クレジットカード会社系)
- 独立系(家賃保証に特化した会社)
など、種類はさまざまです。
信販系の保証会社は、JICC・CICといった信用情報機関へ照会して審査することが多く、クレジットカードやカードローンの審査に近いイメージです。一方で、独立系の一部は信用情報を使わず、
- 申込書の内容(年収・家賃・家族構成など)
- 在籍確認の結果
- 過去の家賃滞納の有無(自社の取引履歴)
などを中心に審査するケースもあります。
この「保証会社による違い」があるため、債務整理をしていても審査に通る余地が残っているのです。
最重要視されるのは「家賃を払える収入があるか」
どのタイプの保証会社であっても、共通して見られるのは「今後、安定して家賃を払えるかどうか」です。
- 収入に対して家賃が高すぎないか
- 勤務先が安定しているか(勤続年数も含む)
- 扶養家族の有無など、生活の支出が多すぎないか
といった点がチェックされます。
過去の家賃滞納があると不利になる(社内ブラック)
債務整理の有無よりも重く見られやすいのが、「過去に家賃を滞納したことがあるかどうか」です。
同じ保証会社で滞納歴があると、その会社の内部では社内ブラックとして扱われ、再度申し込んだときに不利になる場合があります。
一方で、家賃をきちんと払ってきた人は、債務整理をしていても評価が下がりにくいという現実もあります。
審査が緩い保証会社・厳しい保証会社の違い
一般的には、
- 信販系保証会社:審査はやや厳しめ(信用情報を重視しやすい)
- 独立系保証会社:物件や管理会社との関係によって基準が変わる
と言われることが多いです。
実際には公表されていない部分も多いですが、「複数の保証会社から選べる物件」ほど通る可能性が高くなると覚えておくと良いでしょう。
家賃審査の基準は?よくある「収入の◯倍」や職業の影響を解説
次に、家賃と収入のバランスについて見ていきます。ここを理解しておくと、審査に通る物件のイメージがつかみやすくなります。
家賃は手取りの何%が基準になるのか
一般的には、家賃は手取り月収の30%前後までが目安と言われます。
目安を表にすると、次のようなイメージです。
| 手取り月収 | 推奨家賃の上限 | 審査の通りやすさ |
|---|---|---|
| 15万円 | 45,000円 | やや厳しい |
| 18万円 | 54,000円 | 通りやすい |
| 20万円 | 60,000円 | 安定 |
| 25万円 | 75,000円 | 余裕あり |
家賃が収入の4割・5割を超えてくると、「将来的に滞納のリスクが高い」と判断され、審査に落ちやすくなります。
職業・雇用形態で変わる審査の見られ方
職業や雇用形態も、審査の際には一定の影響があります。
- 正社員:収入が安定していれば評価は高め
- 契約社員・派遣社員:勤続年数が長いほどプラスに働く
- アルバイト・パート:収入額とシフトの安定性がポイント
- 自営業:確定申告書・課税証明書などの提出を求められることも
どの職業でも、「継続して家賃を払えるか」を書類や説明で示せるかどうかがカギになります。
家族構成・扶養人数が影響するケースもある
家族の人数が多いと、その分生活費もかさみます。そのため、
- 単身か、夫婦か、子どもがいるか
- 実家からの援助があるかどうか
といった点を見られることもあります。
家族が多くても、家賃を抑えた物件を選ぶ・共働きで収入を確保するなどの工夫をしていれば、審査に通りやすくなります。
債務整理の返済中でも審査に通る人の特徴
任意整理などの返済中であっても、次のような人は審査に通るケースが多いです。
- 返済額と家賃を含めても、生活費に十分な余裕がある
- 勤務先・勤続年数が比較的安定している
- 他に大きな延滞・トラブルがない
逆に、収入に対して返済額と家賃が重すぎる場合は、審査が厳しくなると考えておきましょう。
審査に落ちる原因とは?債務整理よりも重要なポイントがある
ここからは、実際に審査に落ちてしまうケースでよく見られる原因を整理します。
家賃の支払能力が足りない(最も多い落ちる理由)
もっとも多いのは、「収入に対して家賃が高すぎる」という理由です。
- 手取り15万円で家賃9万円の物件を希望する
- 返済中の借金が多く、家賃を払う余裕が少ない
といった状況だと、債務整理の有無に関係なく審査は厳しくなります。
無職・収入が不安定である
転職直後や自営業立ち上げ直後など、収入の安定性が確認しづらいタイミングも、審査に時間がかかったり、否決されることがあります。
この場合、
- 就職してから少し時間を置いて申し込む
- 家賃を下げた物件に変える
- 親族に連帯保証人をお願いする
といった対策が有効です。
過去の家賃滞納・携帯料金滞納があるケース
前述の通り、家賃滞納があったかどうかは保証会社にとって重要なポイントです。過去に強制退去や強制解約があった場合、同じ保証会社ではかなり不利になります。
また、スマホ料金などの滞納も、場合によっては信用情報や社内情報として残ることがあります。延滞や遅延の影響については、こちらも参考にしてみてください。
申告内容に不備・虚偽がある場合のリスク
年収や勤務先などを実際と違う内容で申告してしまうと、その時点で審査落ちとなることもあります。
書類の整合性や、電話での在籍確認などを通じてチェックされるため、ごまかしてもバレる可能性が高いと考えておきましょう。
短期間に複数物件へ申し込む(申込件数の多さ)
「どこかは通るだろう」と考えて、短期間に複数の物件へ次々と申し込む方もいますが、申込情報は管理会社や保証会社の内部で共有されることがあります。
短期間に何度も審査に落ちている履歴はマイナスに見られやすいため、むやみに件数を増やすのは避けた方が無難です。
債務整理後の賃貸審査に通りやすい物件タイプ・管理会社の特徴
同じ人でも、選ぶ物件によって審査の通りやすさが大きく変わります。
大手管理会社の審査傾向
大手管理会社が扱う物件は、
- 審査のフローがしっかりしている
- 保証会社も大手が多い
といった特徴があり、基準はややきっちりしていると言われる一方で、ルールが明確な分「納得感のある審査」をしてくれる面もあります。
地元密着の管理会社は柔軟な場合もある理由
地域密着型の管理会社や小規模なオーナーさんの場合、
- 収入や働き方の事情を丁寧に聞いてくれる
- 物件ごとに保証会社を柔軟に選べることがある
など、大手とは違った意味で融通が利くケースもあります。
築年数・家賃帯・立地で審査の厳しさが変わる
一般的に、
- 新築・駅近・人気エリア → 競争率が高く、審査もやや厳しめ
- 築年数がある程度経っている物件 → 家賃も抑えめで、審査も比較的柔らかい
といった傾向があります。
債務整理後は、条件をすべて理想通りにするのではなく、「長く払い続けられる家賃かどうか」を最優先に考えることが大切です。
保証会社の選択肢が多い物件は通過率が高い
同じ物件でも、
- 保証会社が1社しか選べない物件
- 複数の保証会社から選べる物件
では、後者の方が明らかにチャンスが広がります。
不動産会社に相談するときは、「保証会社の選択肢が多い物件が良い」と伝えておくとスムーズです。
「債務整理そのもの」に悩んでいる方へ
「賃貸審査が不安で債務整理に踏み切れない」という方も少なくありません。しかし、借金の返済が限界に近づくと、いずれ家賃の支払いも厳しくなってしまいます。任意整理に踏み切れない心理や、決断前に知っておきたい現実については、こちらも参考にしてみてください。
審査を通すための具体的な対策|今日からできること
ここからは、債務整理後に賃貸審査を通りやすくするための現実的な対策をお伝えします。
家賃を収入の範囲内にする(手取りの30%以内が目安)
まずは、家賃そのものを見直すことが重要です。
- 手取り20万円 → 家賃6万円前後まで
- 手取り15万円 → 家賃4万5千円前後まで
といった目安を意識し、無理のない範囲の物件を選ぶことが、何よりの審査対策になります。
連帯保証人を付けられるなら選択肢が増える
保証会社+連帯保証人の両方が必要なケースもありますが、物件によっては、
- 保証会社なし+連帯保証人のみ
- 保証会社+緊急連絡先のみ
など、複数のパターンが存在します。
親族などに協力をお願いできるのであれば、選べる物件の幅が広がることも多いです。
収入証明・在職確認がスムーズにできるよう準備する
申し込みの際に必要になる書類は、
- 源泉徴収票・給与明細
- 確定申告書(自営業の場合)
- 社会保険証・社員証などの在籍確認に使えるもの
などです。
あらかじめ手元に準備しておくことで、審査がスムーズに進み、印象も良くなります。
保証会社の種類を選べる物件を探す
前述の通り、保証会社によって審査基準はさまざまです。
複数の保証会社を扱っている管理会社であれば、最初の審査で落ちても別の保証会社で再チャレンジできる場合があります。
不動産会社に相談するときは、「債務整理をしているが、家賃をきちんと払う意思がある」ことを素直に伝えたうえで、柔軟に対応してもらえる物件を探してもらいましょう。
審査に不安がある人におすすめの探し方・避けるべき物件
最後に、「こういう探し方をすると通りやすい」「こういう物件は避けた方が良い」というポイントを整理します。
審査が厳しめの物件(法人契約向け・高額賃貸など)
次のような物件は、債務整理の有無に関係なく審査が厳しい傾向があります。
- 家賃が相場よりかなり高い物件
- 法人契約がメインの高級マンション
- タワーマンションや新築の人気物件
無理をしてこうした物件を狙うより、身の丈に合った家賃帯の物件を選ぶ方が結果的に生活も安定します。
審査が通りやすい探し方(保証会社選択可・家賃帯の見直し)
審査に不安がある場合は、
- 保証会社を複数扱っている管理会社の物件
- 家賃を今より1〜2万円下げた物件
- 築年数がやや古めでも、立地と家賃のバランスが良い物件
などを中心に探すのがおすすめです。
仲介会社へ正直に相談した方が通過率が上がる理由
「債務整理をしていることを言ったら断られるのでは?」と心配になるかもしれませんが、実は正直に相談した方が、現実的な提案をしてもらえることが多いです。
- 通りやすい保証会社を使える物件を紹介してもらえる
- 家賃帯やエリアの調整など、具体的なアドバイスがもらえる
などのメリットがあります。
信用情報が気になる方はコチラもチェック
「ブラックだと絶対に審査に通らないのでは?」と不安な方は、信用情報の仕組みを先に理解しておくと気持ちが少し楽になります。
債務整理後の賃貸審査に関するよくある質問(FAQ)
Q. 債務整理をすると、賃貸の入居審査には通りませんか?
A. 債務整理をしたからといって、必ず賃貸審査に落ちるわけではありません。審査で重視されるのは「今後家賃を払えるかどうか」であり、家賃と収入のバランス、職業や勤続年数、過去の家賃滞納の有無などが主なチェックポイントです。
Q. ブラックリスト中は賃貸の審査に落ちやすいですか?
A. 信用情報がいわゆるブラック状態でも、それだけを理由に賃貸審査で一律に落とされることは多くありません。保証会社によっては信用情報を見ないところもありますし、見たとしても「家賃を払える収入があるか」「過去の家賃滞納がないか」といったポイントの方が重視されます。ただし、他の借入や滞納が多いと「支払い能力が不安」と判断されやすくなるため、家賃を抑えるなどの工夫は必要です。
Q. 保証会社は信用情報(ブラック)を必ずチェックするのでしょうか?
A. 信販系の保証会社は信用情報をチェックすることが多い一方で、独立系の保証会社は信用情報を使わずに審査するケースもあります。どの保証会社が使われるかで審査の傾向は変わるため、保証会社の選択肢が多い物件を選ぶと通過率が上がることがあります。
Q. 債務整理の返済中でも賃貸を借りられますか?
A. 返済中でも、家賃を含めて生活費に十分な余裕があれば、審査に通る可能性は十分あります。一方、返済額と家賃が重すぎると「支払いが厳しそう」と判断され、審査に通りにくくなります。無理のない家賃帯を選ぶことが重要です。
Q. 過去に家賃を滞納したことがあるのですが、もう賃貸は借りられませんか?
A. 強制退去など重いトラブルがあった場合は同じ保証会社で不利になる可能性がありますが、他社の保証会社を使う物件なら通るケースもあります。ただし、再び滞納すると状況がさらに悪化するため、次に借りる物件は無理のない家賃設定にすることが大切です。
Q. 無職や転職直後でも賃貸の審査に通ることはありますか?
A. 完全な無職だと厳しいことが多いですが、内定が決まっている・近々就職予定があるなど、今後の収入の見込みを説明できる場合は通ることもあります。転職直後の場合は、家賃を抑えたり、連帯保証人を付けることで通過しやすくなることがあります。
まとめ|債務整理があっても賃貸審査は十分通る。重要なのは“家賃と収入のバランス”
債務整理をしたからといって、もう賃貸に住めないというわけではありません。むしろ、
- 家賃が収入の範囲内におさまっているか
- 安定した収入や勤務先があるか
- 過去の家賃滞納がないか、あっても同じ保証会社を避けるか
といったポイントを押さえれば、審査を通過できる可能性は十分にあります。
大切なのは、「今後も無理なく払い続けられるかどうか」という視点で物件を選ぶことです。家賃を少し抑えるだけでも、生活の安定度は大きく変わります。
借金の返済と同じように、住まいも「背伸びをしない選択」をすることが、再スタートを成功させるコツです。焦らず、現実的なラインで住まい探しを進めていきましょう。
債務整理をきっかけに生活を立て直した人の実例は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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