
「債務整理の相談をしたいけれど、何を準備しておけばいいのかわからない…」
多くの方が抱えるこの悩みは、事前準備のチェックポイントを押さえるだけで一気に解決できます。
債務整理は、借入状況・収入・家計のバランスをもとに専門家が最適な方法を判断するため、準備の有無で手続きのスムーズさが大きく変わる手続きです。
本記事では、相談前にやっておくべき準備を「チェックリスト形式」でわかりやすくまとめました。
この記事でわかること
- 債務整理前に必ずやるべき準備リストがわかる
- 必要書類・借入状況のまとめ方が理解できる
- 家計整理のポイントと見直しのコツがわかる
- 相談前に注意すべき点と、手続きがスムーズになるコツが把握できる
債務整理前に“準備が必要な理由”とは?
事前準備で手続きの時間・負担が大きく減る
債務整理は、「今どれくらい借りていて、毎月いくら返していて、家計がどれくらい厳しいのか」という情報をもとに進みます。
これらが曖昧なままだと、相談のたびに調べ直したり、後から書類を探したりと、時間と手間が余計にかかってしまいます。
逆に、事前に借入状況や家計の情報がある程度整理されていれば、初回相談の段階で大まかな方針まで決まることも少なくありません。
「準備してから相談に行く」のと「何も持たずに相談に行く」のでは、スピードも安心感も大きく変わってきます。
準備不足だと誤解やミスが起こりやすい
「この借入先は少額だから言わなくていいだろう」「リボの残高はだいたいこのくらいだったはず…」と曖昧なまま相談してしまうと、借入先の漏れや金額の勘違いが起こりがちです。
手続きの途中で新しい借金が見つかると、和解の条件を組み直したり、手続き自体をやり直すリスクも出てきます。
専門家との行き違いを防ぐためにも、事前準備は「自分を守るための作業」と考えておきましょう。
準備して相談すると、より正確な提案が受けられる
任意整理・個人再生・自己破産のどれを選ぶべきかは、借金の総額・収入・資産・家族状況などを総合的に見て判断します。
ここでの情報がざっくりしていると、「実は個人再生の方が良かった」など、あとから条件の見直しが必要になる可能性もあります。
最初から情報が整理されているほど、より現実的で無理のない提案を受けやすくなり、結果的に生活再建までの道のりも短くなります。
債務整理前にやっておくべき準備リスト【全体チェック】
まずは、「ここだけは最低限チェックしておきたい」という項目を一覧にしました。完璧にできていなくても構いません。できる範囲で進めておくことが大切です。
① 借入状況の「全体像」を把握する
債務整理の出発点は、自分の借金が「どこから・いくら・どんな条件」であるかを把握することです。
以下のような項目を、紙のメモやノート、スマホのメモアプリなどに一覧化しておきましょう。
- 借入先(社名・カード会社名・アプリ名など)
- 現在の残高
- 金利(利息)や手数料
- 毎月の返済額と返済日
- 滞納の有無(何ヶ月遅れているか、督促状の有無など)
「すべてを書き出すのがしんどい…」という場合でも、主要な借入先から順番に整理していくだけでもOKです。
任意整理の基本的な流れについては、次の記事もあわせて参考にしてください。
② 必要な書類をそろえる
書類はできる範囲で集めれば十分ですが、最初からある程度そろっていると、相談の精度が高くなります。目安として以下のようなものを用意しておきましょう。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など)
- 収入がわかる書類(給与明細・源泉徴収票・年金通知など)
- 借入内容がわかる書類(カード明細、請求書、契約書、アプリ残高のスクリーンショットなど)
- 銀行通帳の入出金記録(ネット銀行の場合は画面コピーでもOK)
「全部そろってからでないと相談してはいけない」ということはありません。まずは手元にあるものだけ持参し、不足分は後から集めるスタイルでも問題ありません。
③ 家計の現状を整理する
債務整理後に無理なく返済を続けるためには、今の家計状況をざっくりでも良いので把握しておくことが大切です。
- 家賃・住宅ローン
- 光熱費(電気・ガス・水道)
- 通信費(スマホ・ネット回線)
- 保険料(生命保険・医療保険など)
- 食費・日用品・交通費・趣味娯楽
項目ごとに「だいたい毎月いくらかかっているか」を書き出してみるだけでも、支出のバランスやムダな出費の有無が見えてきます。
④ 収入・勤務状況を確認しておく
相談時には、現在の収入だけでなく、今後の見込みも含めて伝えることが大切です。
- フルタイムかパートか、シフト制かどうか
- 残業代・手当がどれくらいあるか
- 近いうちに転職・退職・勤務時間の変更予定があるか
たとえば「今は残業が多いが、来月から残業カットされる」「近々別の仕事に転職したい」といった情報も、返済計画を考えるうえで重要な判断材料になります。
⑤ 同居家族の状況や家計の共有範囲を確認
家族に内緒で進めたい場合でも、「家計をどこまで共有しているか」「生活費をどう負担しているか」といった情報は、家計全体のバランスを把握するうえで欠かせません。
- 同居家族の人数・収入の有無
- 生活費の分担(自分がどの費目を負担しているか)
- 家族名義のクレジットカードやローンの利用状況
こうした情報を整理しておくと、家族にどこまで影響が出るのかも見通しやすくなります。
債務整理前の必要書類チェックリスト
ここでは、相談前に用意しておくとスムーズな代表的な書類を整理します。すべて完璧でなくても構いませんが、「何があるか」「何がないか」だけでも確認しておくと安心です。
本人確認書類
本人確認書類はほぼ必須です。以下のようなもののうち、いずれか1点または2点が必要になります。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- パスポート(有効期限内)
収入証明(直近の収入がわかるもの)
返済計画を立てるうえで、今の収入がどれくらいかを把握する必要があります。
- 給与明細(直近2〜3ヶ月分)
- 源泉徴収票(会社員・パートなど)
- 年金振込通知書(年金受給者)
- 確定申告書控え(自営業・フリーランスなど)
「今すぐ準備できない」という場合は、分かる範囲で大まかな金額だけでも控えておくと良いでしょう。
借入内容がわかるもの
借入先・残高・金利・返済状況がわかる書類を、可能な範囲で集めておきます。
- クレジットカードの利用明細
- 消費者金融・カードローンの利用明細
- 請求書や督促状
- ローン契約書
- 借入アプリの残高画面のスクリーンショット
近年は、AIスコアローンやBNPL(後払いサービス)などの新しい形の借入も増えています。これらも立派な「債務」ですので、必ずリストに含めておきましょう。
BNPLや後払い系サービスについては、こちらの記事も参考になります。
▶ 【後払いの落とし穴】AIスコアローン・BNPLが危険な理由|任意整理が必要になる新型債務とは?
家計の支出がわかるもの
家計の支出状況を把握するために、次のような情報が役立ちます。
- 銀行口座の通帳(入出金履歴)
- クレジットカードの明細
- 家計簿アプリの画面
支出の全体像がわかると、どこを削れば良いか・どのくらいの返済額なら無理なく続けられるかを、より現実的に検討できます。
相談前に必ず整理しておくべき“借入情報”とは?
借入先をすべて書き出す(漏れNG)
債務整理の対象となる借入先を一部だけ伝えてしまうと、対象外の借金だけ督促が続いてしまうことがあります。
少額の借入や、昔に作ったカードローン・ショッピングリボなども含めて、思い出せる限りすべて書き出しましょう。
滞納の有無を正確に伝える
「滞納していることを知られたら怒られるのでは…」と不安になり、隠したくなる気持ちもあるかもしれません。
しかし、滞納があること自体は珍しくなく、むしろ正直に伝えたほうが対処しやすいのが実情です。
「何ヶ月分滞納しているか」「督促状や一括請求が届いているか」などを、できるだけ具体的に説明できるようにしておきましょう。
クレカのリボ・キャッシングも必ず含める
クレジットカードのリボ払い・キャッシング枠も、立派な「借金」です。
ショッピング利用分がリボ払いになっている場合は、利用残高がどれくらいあるかも確認しておくと安心です。
後払い(BNPL)も必ず含める
「あと払い」「スマホ後払い」「バンドルカード」「ペイディ」など、クレジットカード以外の後払いサービスも増えています。
これらも支払いが遅れると督促や回収の対象となりうるため、金額や利用先をメモしておきましょう。
債務整理前に“家計を軽くしておく”メリット
返済計画が立てやすい
家計の支出を見直し、ムダを少しでも減らしておくと、債務整理後の返済に回せるお金が増えることになります。
結果として、
- 毎月の返済額に少し余裕を持たせられる
- 返済期間を短くできる可能性がある
など、より現実的で続けやすい返済プランを組みやすくなります。
任意整理後の生活が安定しやすい
「手続きが終わったけれど、生活がギリギリでまた苦しくなってしまった」という状態は避けたいところです。
債務整理はゴールではなく、生活を立て直すためのスタートラインでもあります。
家計をあらかじめ見直しておけば、任意整理後も無理なく生活を続けやすくなり、再び借金に頼るリスクも減らせます。
任意整理後の生活再建については、こちらの記事も参考になります。
▶ 任意整理後の貯金・家計管理術|少ない収入でも再スタートする方法
固定費の見直しは必須
特に、以下のような毎月固定で出ていく費用(固定費)は、見直し効果が大きい部分です。
- スマホ料金・インターネット回線
- 生命保険・医療保険・学資保険などの保険料
- サブスク(動画配信、音楽、オンラインサービスなど)
1つ1つは数百円〜数千円でも、合計すると毎月1〜2万円以上削減できることもあります。
債務整理前後のタイミングは、固定費を見直す絶好のチャンスです。
相談前に知っておくべき注意点
情報は正確に伝えることが成功の鍵
「こんなところまで話していいのかな…」と不安に感じるかもしれませんが、情報を隠すと、かえって自分が不利になることがほとんどです。
専門家は守秘義務を負っているため、相談内容が外部に漏れることは基本的にありません。
借入先・金額・滞納状況などは、恥ずかしがらずにありのままを伝えた方が、最適な解決策にたどり着きやすくなります。
職場や家族に知られるリスクはどの程度?
「債務整理=必ず家族や職場にバレる」と思われがちですが、手続きの種類や進め方によっては、通知が届く範囲をある程度コントロールできる場合もあります。
家族に知られずに進めたい方は、以下の記事も確認しておきましょう。
手続き中は新規借入NG
債務整理の手続きに入った後に、新しく借金を増やすことは基本的にNGです。
新規借入を続けると、
- 「反復して借金を増やしている」と判断され、手続きに悪影響が出る
- せっかく整理した借金とは別に、新たな返済負担を抱えることになる
手続き開始後は、できる限り借金に頼らない生活を意識することが大切です。
債務整理前にやるべき“心構え”と判断基準
どの手続きが現実的かを理解する
一口に「債務整理」といっても、任意整理・個人再生・自己破産など、複数の方法があります。
どれが自分に合っているかは、借金総額・収入・資産・持ち家の有無・家族構成などによって変わります。
各手続きの違いについては、以下の総まとめページも参考になります。
▶ 初めての債務整理|任意整理・個人再生・自己破産の違いを解説
返済を続けられるか?冷静に判断する
「今の収入で、あと何年この返済を続けられるか?」という視点はとても重要です。
一時的な根性論ではなく、数字ベースで冷静に判断することが、生活再建への近道になります。
たとえば、
- 残りの返済総額はいくらか
- 今のペースで返すと、完済までに何年かかるか
- その間に収入ダウンや予想外の出費があった場合に耐えられるか
こうした点も、相談前に一度考えておくと良いでしょう。
家計改善とセットで考えると成功しやすい
債務整理は、借金問題の「解決スタート」であり、家計の立て直しとセットで考えることで効果を最大化できる手続きです。
「借金だけなんとかする」のではなく、収入アップや固定費削減など、小さな改善もあわせて進めることで、再び借金に悩まされるリスクを減らすことができます。
債務整理相談の流れ|準備があると最短で進む
初回相談で確認される主な項目
事務所によって細かな違いはありますが、初回相談では概ね以下のような内容を確認されます。
- 借入先と借金の総額
- 毎月の返済額・返済状況(滞納の有無)
- 現在の収入・勤務形態・家族構成
- 持ち家や車などの資産の有無
- これまでの返済の経緯・生活が苦しくなった背景
この記事で紹介した準備を進めておけば、これらの質問に落ち着いて答えやすくなり、相談時間も有効に使いやすくなります。
準備がそろっていると完了までが早くなる理由
借入一覧・家計状況・必要書類がある程度そろっていると、事務所側での調査や書類作成もスムーズに進みます。
その結果、
- 受任通知の発送が早くなる
- 債権者からの取引履歴取り寄せもスムーズに進む
- 和解交渉〜返済スタートまでの時間が短縮されやすい
つまり、早い段階で督促や取り立てが止まり、精神的な負担を軽くしやすくなるというメリットがあります。
不安なら「準備途中でも相談OK」
ここまで読んで、「準備が完璧にできてからじゃないと相談しちゃいけないのでは?」と感じた方もいるかもしれません。
しかし実際には、準備は途中でも構わないので、早めに相談したほうが良いケースが多いです。
とくに、
- すでに督促や催促の電話が頻繁に来ている
- 家賃や光熱費など、生活費の支払いにも影響が出始めている
といった状況なら、「まずは状況を整理するための相談」というスタンスでも問題ありません。
専門家と一緒に、これから何を準備すれば良いかを確認していきましょう。
まとめ|準備さえ整えば債務整理はスムーズに進む
債務整理前に最低限やっておきたい準備をまとめてきましたが、完璧にこなす必要はありません。
大切なのは、
- 借入状況・家計・収入の全体像を、ざっくりでも良いので把握しておくこと
- 必要書類を「集め始めること」から一歩を踏み出すこと
- 不安な点は、準備途中でも専門家に相談してみること
この3つを意識するだけでも、手続きのスムーズさや精神的な安心感は大きく変わります。
迷っているのであれば、一人で抱え込まず、まずは無料相談などを活用して「自分の状況だとどんな選択肢があるのか」を聞いてみることから始めてみてください。
次に読むべきおすすめ記事
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