株取引やFXによる借金を返済することができなくなってしまって、債務整理によってこれらの投資による借金を整理する人は多いです。
株取引やFXなどの投資による借金は、自分の責任による借金なので、債務整理が認められるのか不安に感じている方もいるかもしれないですが、こういった投資による借金も債務整理することが認められています。
では株やFXの場合、どのような仕組みによって借金ができるのでしょうか?
株取引やFXによる借金ができる理由とは?
株やFXによる投資を利用すると借金ができる可能性がありますが、それはあくまでもいくつかの条件が揃ったような場合になります。
株取引で借金ができる理由と仕組み
株は基本的に現物取引をしていれば元本以上に損をすることはないので借金で困るようなことはないと思います。
ただ信用取引という証券会社からお金を借りるようなシステムで取引をすると、元本の3倍までの余力で取引することができます。
そのため信用取引で元本以上の取引をして失敗すると借金ができてしまうという仕組みになります。
FXで借金ができる理由と仕組み
FXはレバレッジによってハイリスクハイリターンの取引が可能で、株よりもリスクが高く、大きく為替が変動すると強制ロスカットによって大きな損失をする可能性があります。
レバレッジは実際の投資金額よりも多額の取引ができる仕組みで、レバレッジ10倍だと1万円の証拠金で10万円分の取引が可能になります。
そのため急激の相場変動によって為替が動くと、その分だけ動く金額も大きくなってしまって、いつの間にかマイナスが元本を割ってしまって借金になってしまうことがあります。
普通はそこまでにならないように強制ロスカットされるのですが、相場変動が急すぎると強制ロスカットが追い付かない可能性があります。
株取引やFXによる借金状況は2つのパターンがある
株取引やFXで借金を作ってしまう原因は元本以上の金額の取引をすることによる失敗だということがわかったと思いますが、具体的にどのような状況による借金が考えられるのでしょうか?
追証を払えなくなってしまった場合
相場が大きく動くと元本以上の損をすることがあり、株の場合は購入した銘柄に不祥事があったり、倒産することになったら、売りが殺到して連続ストップ安になり、株を売りたくても売れない状況になり、元本を割ってマイナスになる可能性があります。
FXの場合もレバレッジをかけすぎて強制ロスカットが追い付かずに証拠金がマイナスになってしまうことがあります。
口座内の額がマイナスになると追証の連絡が来て、証拠金の不足分の金額を入金するようにという督促がきます。
このように口座がマイナス状況になってしまった場合は取引している証券会社がFX会社が債権者ということになります。
金融業者からお金を借りて取引した場合
追証を払うことができないので消費者金融などからお金を借りてマイナス状況を回避した場合には消費者金融が債権者になります。
消費者金融からお金を借りることで追証を回避できるならその方がいいかと思いますが、株やFXによる借金の場合は、レバレッジによっては数千万円になることもあり、カードローンやクレジットカードのキャッシングでは対応できない場合もあります。
ただ債権者が証券会社の場合でも消費者金融の場合でも債務整理することは可能なので安心してください。
株取引やFXによる借金の債務整理は可能か?
株やFXによる借金を債務整理することは可能ですが、具体的にどのような債務整理方法による借金整理が可能なのでしょうか?
それぞれ任意整理、個人再生、自己破産に分けて株やFXによる借金を債務整理する場合について説明します。
任意整理
任意整理は債権者と交渉することによって利息カットや返済期間を変更してもらうという債務整理方法ですが、株やFXによる借金も任意整理することが可能です。
借金の利息をカットしてもらうことができれば支払い総額が少なくなるので毎月の返済負担も小さくなり、株やFXによる借金の負担を軽くすることができます。
ただ元本が大幅に減るわけではないので、借金額が大きすぎる場合には任意整理をしても返済することができない場合もあるので、借金額が200万円以下くらいの場合に利用したい債務整理方法です。
また借金がゼロになるというわけではないので、仕事がない主婦や専業投資家などの場合だと手続きを断られる可能性があります。
個人再生
個人再生は裁判所で手続きする債務整理方法で、再生計画案を出してそれを債権者に承認してもらうことで、その計画案に沿って返済していくという債務整理方法になります。個人再生もFXや株による借金を減額することが可能です。
任意整理と違って元本を大幅に減額することができ、借金額がによっては最大で元本が10分の1まで減らしてもらうことができる強力な債務整理方法です。
個人再生は強力な債務整理方法なので、任意整理では返済できないような借金額での整理におすすめです。
個人再生は住宅ローン特則を利用すれば家を売らずに借金を減額できるので、家族がいて株やFXによる借金で生活環境を変えたくような状況では非常に頼りになる債務整理方法になります。
また個人再生も借金がゼロになるというわけではなく、継続した安定収入がないと利用できないという制限があるので、専業主婦や専業投資家などだと利用が難しいかもしれないです。
自己破産
自己破産は個人再生と同様に裁判所で手続きを行うという債務整理手続きで、裁判所から免責を認められると借金返済の義務がなくなるので、事実上借金がゼロにいなるという手続き方法になります。
ただ株やFXのような投資による借金の場合だと、自己破産で免責が認められない要件である「免責不許可事由」のギャンブル行為に該当してしまうので、免責が受けられず、借金が残る可能性があります。
しかし裁判官の裁量で免責が認められることもあるので、株やFXによる借金が必ず自己破産できないというわけでもないです。
そのため手続きでは反省や今後の改善などを面接の際にしっかりと裁判官にアピールして免責許可を得ることが求められます。
またこういった株やFXなどの免責不許可事由に該当するような借金で自己破産する場合には手続きをする弁護士の手腕も重要になってくるので、弁護士選びも大事になります。
最終的に株取引やFXに最適な債務整理方法は?
株やFXによる最適な債務整理方法については、その人の借金状況によって変わってきます。
仕事があって借金額が200万円以下でそこまで借金が大きくないようなら任意整理による債務整理がリスクが少なくて利用しやすいとのではないかと思います。
それよりも借金が大きくて、利息をカットしたくらいでは完済が難しいような状況の場合には個人再生を利用するといいと思います。
個人再生は住宅ローンを除外した借金が5000万円までなら債務整理することができ、自己破産のように借金理由は問われないので、借金額が大きい場合に利用しやすいです。
自己破産は専業主婦や専業投資家など、継続的な収入がなく仕事がないような状況の人が利用すべき債務整理方法です。
収入がなくて返済するあてがないような状況だと、裁判官も免責を出す可能性が高いと思うので自己破産によって借金が整理できる可能性が十分にあります。
株取引やFXで債務整理した人の体験談
株やFXはこれまでリーマンショックやライブドア事件など色々な相場変動によって、多くの投資家を借金地獄に追い込んできたということもあり、株やFXによる債務整理は結構多いです。
そこで実際に株やFXによる借金を債務整理した方の体験談を下記でまとめています。
男性
ITバブルがはじけてちょうど株価が安い時期に株をやるようになったということもあり、当初は非常に順調に資産を延ばすことができました。
ただその後、ライブドアショックやリーマンショック、東日本大震災などがあって資産がどんどん減っていってしまいました。
さらに信用取引で購入していた銘柄が倒産するという報道があって、連続ストップ安なって売りたくても売れない状況になり元本割れを起こしてしまいました。
最終的には500万円近くもマイナスを出してしまい、貯金は全て株につぎ込んでいたので債務整理で借金を整理することになりました。
当初は債務整理方法が複数あるとは思わなかったので、弁護士の無料相談を利用して詳しい話やアドバイスをもらって、個人再生による借金整理をお願いしました。
現在はすでに借金を完済しており、株は現在やってないです。
女性
子供が学校に通うようになって暇な時間が増えてきたのでパートに出て小遣い稼ぎをするようになりました。そのパート先で知り合った女性がFXをやっているということで、話を聞くと私もやってみたくなりました。
何となくFXはリスクが高いということは知っていたので、最初は少額で数千円の損をしたり利益を得たりしていたのですが、次第に投資する金額が増えてきてしまって、1回に負ける金額も増えてきてしまいました。
そうした状況の中でFXをやっているときに、子供の学校から急な呼び出しがあり、熱で学校を早退させることになったということで迎えに行って帰ってきたら、急な相場変動があって証拠金を割り込んでマイナスになっていました。
最初な何かの間違いかと思ったのですが、マイナスなったのは事実で呆然としました。
その時のマイナスは100万円くらいだったのですが、夫にそのことを話すのはためらわれて、返済するにもかなりかかりそうだったので、借金問題に関して無料相談をやっている司法書士に話を聞いてもらいました。
そこで任意整理をすることになり、何とか3年で完済できました。投資の怖さを知って、さすがにそれからはFXをやってないです。
株取引やFXによる借金を防ぐ方法
株やFXによる借金は毎年ある程度ありますが、防ぐ方法はそこまで難しいことはないです。
株の場合はそもそも信用取引の口座を開設しなければいいだけの話です。株に関しては現物取引だけなら最悪でも元本がなくなるだけに収まるので、購入した銘柄が倒産したとしても借金するまでに追い込まれることはないです。
FXの場合はレバレッジをかけすぎないことが重要です。レバレッジをかければそれだけ借金リスクが大きくなるので、欲を出しすぎないで、しっかりと自分の中でルールを設けて、その範囲で取引することが重要になります。
他にも貯金を全て投資につぎ込まないということも大事です。資産有用のために貯金を株やFXに全て投資している人がいますが、それだと何かあった場合に対応できなくなります。
株やFXで借金を作らないためにはしっかりとした資金管理とレバレッジ管理が重要になります。
債務整理中に株取引やFXをやっても大丈夫か?
株やFXに夢中になっている人は債務整理中でも取引をしたいと思う人がいます。
結論を言ってしまうと債務整理中の株取引やFXはやめておいた方が無難だと思います。
もし債務整理中に大負けしてしまい、現在手続き中の債務整理方法では返済困難という状況になってしまったら、これまでの手続きが全て無駄になります。
特に自己破産などの債務整理では、株やFXによる借金理由自体が免責不許可事由に該当するのに、その手続き中に株取引やFXをしていることが知られたら、免責許可に影響がでないとも限らないです。
債務整理後のことも考えて、個人的には借金を完済するまでは株取引やFXは控えたほうがいいと思います。
特に自己破産の場合だと、手続き後に7年間は自己破産を利用できなくなるので、自己破産後にまた株取引やFXで莫大な借金を作ってしまったら、今度は自己破産できないということにもなりかねないです。
債務整理後に株取引やFXの口座開設は可能か?
結論を言ってしまうと債務整理後でも株取引やFXの口座開設は可能です。
債務整理をすると信用情報機関にブラックリストとして掲載されるので口座開設できないのではないかと思う方もいると思います。
しかし証券会社はFX会社は消費者金融のようにお金を貸し出すということはないですし、クレジットカード会社のようにキャッシング機能があるわけでもないです。
そもそも証券会社は信用情報機関には加盟してないので、債務整理したとしてもそのことが知られる可能性は低いです。
まとめ
株取引やFXによる借金は相場変動によってはとんでもない金額になる可能性があるので、債務整理でしか借金問題を解決できないということもあります。
株取引やFXによる借金では、比較的借金額が軽い場合には任意整理を利用し、借金額は大きいけど自己破産したくない場合は個人再生、専業投資家や専業主婦で安定した収入がない場合には自己破産という感じで債務整理方法の利用を考えるといいかと思います。
借金問題は放置すると強制執行による差し押さえなど状況はどんどん悪化してしまうので早めに対処してしまったほうがいいです。
弁護士や司法書士の中には債務整理などの借金案件に関して無料相談をやっている事務所も多いです。
そのため株取引やFXによる借金で返済できる見込みがないようなら、早めに専門家である弁護士や司法書士の無料相談を利用して相談するといいと思います。