特定調停の手続きでは簡易裁判所に申立てて借金整理を行う債務整理の手続き方法になります。特定調停を申立てることができるのは特定債務者になっています。
特定債務者は金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの、もしくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難なもの、または債務超過に陥るおそれがある法人をいいます。
こうして見ると非常に分かりにくいかもしれないですが、簡単に言うと、借金の返済で困っている個人や負債を抱えて困っている会社などの法人が対象になっている借金整理方法だということです。
ちなみに住宅ローンで困っている個人も借金返済で困っている人に含まれます。
特定調停に必要な資料とは?
特定調停は簡易裁判所に申立てることになるのですが、その際に必要になってくる資料とはどのようなものなのでしょうか。
特定調停を行うには自分が借金返済で困っていることを証明する必要があるのでそういったことを示すような資料を提出する必要があります。
具体的にどのような資料が必要なのか下記で具体的に載せているので参考にして見てはどうでしょうか。
特定調停に必要な資料
- 不動産や自動車や預金などの資産一覧表
- 債権者や担保者の一覧表
- 給与明細や家計簿や通帳の写しなど生活資料
- 借入れの契約書など借金の内容がわかるもの
- 領収書などのこれまでの支払がわかるもの
こういった資料が必要になってきます。ちなみに領収書などについては破棄してしまっている可能性もあると思いますが、債権者に連絡することで取り寄せることも可能なので、そういったことについても簡易裁判所に相談するといいと思います。
またこれ以外にも資料を求められることがあるかもしれないので、その場合には指示に従うようにしてください。
特定調停の手続き費用相場
特定調停は弁護士や司法書士への手続費用は必要ないですが、裁判所で手続きするための費用は必要になってきます。
特定調停の申立ての費用としては申立ての手数料と予納郵券が必要になってきます。
ちなみに申し立て費用については債権者によって違ってきますが、具体的には債権者1人に対して500円になり、債権者が5人の場合には2500円という感じになります。
予納郵券は当事者の呼び出しなどに使用するもので、これは裁判所によって金額が違ってくるので、該当する裁判所に確認するようにするといいです。
目安として東京簡易裁判所では予納郵券は1450円になります。
一般的には1万円から2万円程度あれば十分に手続費用を賄うことはできると思います。
債権者の数によって費用が変わってくるのは債務整理の費用相場では多いので知っておくといいと思います。
特定調停の手続きは本人でも行うことができる
特定調停は調停なので手続きも本人で行うことができ、専門家(調停委員会)が中に入ってくれるので安心して行うことができます。
では具体的に特定調停のメリットにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
民事執行手続きを無担保停止可能
特定調停では給料の差し押さえなども同様に停止することが可能というメリットがあります。とは言ってもこれは裁判所の裁量による影響があるので、必ず停止できる保証はないです。しかし停止できる可能性は十分にあります。
貸金業者に取引経過の開示が可能
調停委員会が特に必要があると認めるときは、貸金業者等に対して取引経過の開示を求めることが可能です。業者がこれに応じなければ、10万円以下の過料制裁があります。特定債務者としては貸金業者等の取引経過の文章提出を調停委員会に頼むことができるので、貸金業者と直接やり取りする手間を減るのでメリットが大きいです。
ちなみに特定調停の相手方つまりは特定債権者が複数の時には、債権者全員を相手方として特定調停を申立てて順次調停を成立させていくという手順になっています。
しかし実際には裁判所によってこういった運用が異なってくる場合もあるので特定調停を行う場合には予め近くの裁判所に確認するようにするといいです。
特定調停の詳しいメリットとデメリットは下記が参考になります。
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特定調停のメリットとデメリット【初めての方にわかりやすく解説】
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特定調停は債権者の住所の簡易裁判所に申立てる
特定調停の申立ては原則として借金をしている相手方の債権者の住所を管轄する簡易裁判所に申立てることになります。
ただ地方裁判所への裁量移送ができることになっていますが、これは各地の裁判所の取り扱いによってきますね。
申し立て方法についてはよくわからない場合には簡易裁判所に問い合わせてみるとやり方を教えてくれるので直接聞いてみるのが一番分かりやすいと思います。
そういった申立ての前には、まずは毎月いくらぐらい払うことができるのか、または期限をどれくらい猶予してもらいたいのか、予め借金の返済計画についてまとめておくといいと思います。
特定調停は法律が分からなくても利用しやすい
利息制限法の上限金利の見直しで債務を減額してくれたり、調停委員会が解決のための案を出してくれるなど、法律がわからなくても利用しやすいのが特定調停になります。
特定調停では話し合いがつくと合意した内容が記載された調停調書が作成されます。
この調停調書は判決と同じ効力があり、合意した内容に従って返済しない場合には相手方から強制執行を受ける場合があるので注意が必要です。
また特定調停で合意できない場合には自己破産などの方法で借金整理を考える必要が出てきます。
特定調停は昔はかなり多く利用されていましたが、現在では改正貸金業法によって利息の上限が利息制限法の金利とされたことなどから利用している人はかなり少なくなっています。
特定調停自体はいい方法ではありますが、裁判所や債権者とのやり取りなどがあるので任意整理よりは面倒なのではないかという印象ですね。
また借金が支払不能くらいになっているのなら自己破産を利用した方が手っ取り早いようにも感じます。
債務整理の方法については債務整理に強い法律事務所の無料相談を利用して選んでみてはどうでしょうか。