特定調停の借金整理方法のメリットとデメリットについて気になっている人も多いのではないでしょうか。特定調停では簡易裁判所の調停委員会(裁判官1名、調停委員2名)が調停に当たります。
近年では行っている人が少ない債務整理方法で、特定調停における基本的な借金整理方法は各債権者の債務について、利息制限法所定の上限金利に引き直して現在の債務額を算出して、残元金および未払い利息・損害金を原則として3年にわたって分割し返済していくというものです。
法律事務所に債務整理を依頼すると、過払い金返還請求が任意整理や自己破産などで事前に行われることを考えると、そこまで積極的に選ぶ必要もない債務整理の方法のように感じますね。
返済分を過去の利息制限法所定の金利に引き直して計算すると金利や借入れ年数等にもよりますが、残債務は大幅に減額されて場合によっては過払いになっている場合があります。
自分で計算することができますが、債務整理に強い法律事務所の無料相談で簡単に判明するので利用して見てはどうでしょうか。
このようにして計算した債務を3年程度で分割返済していくことになります。
月々の返済額が収入から見て多くて、返済が不可能なような場合には、調停ですのでもう少し減額してくれるように交渉できます。
ただ特定調停では貸金業などの債権者との合意で成立するので、相手が応じないようなら不成立になってしまいます。この場合だと裁判所が調停に代わる決定を下す場合があります。
特定調停の不成立の可能性は高いの?
特定調停では貸金業者などの債権者と交渉によって借金の返済方法について話し合う債務整理の方法ですが、基本的には貸金業者などの債権者にはメリットがないので合意する可能性は低いのではと思っている人もいるのではないでしょうか?
結論を言ってしまうと特定調停は手続きで合意できるケースは少ないです。実際には特定調停で合意できるのは10%にも満たないというデータもあります。
裁判所で行う債務整理方法なので、裁判所が味方になって合意を手助けしてくれないのかと思う方もいると思いますが、裁判所はあくまでも交渉の仲介をするだけで、必ずしもこちらの味方というわけではないです。
利用者としては金融業者などの債権者と交渉できるだけでも大きな意味がありますが、その交渉を成立させるためにはこちらにもある程度の交渉力が必要になってくるということです。
ちなみに同じように債務者が債権者と交渉する債務整理方法として任意整理がありますが、任意整理は弁護士や司法書士に依頼するのが一般的で、これらの専門家が交渉するので成立する可能性は特定調停と比べると圧倒的に高いです。
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特定調停を行うメリットとは?
近年は行っている人が少なくなっている特定調停ですが、特定調停を行うメリットはどういったものなのでしょうか。
特定調停を行う前にどんなメリットがあるのか知っておきましょう。
特定調停のメリットを5つ載せているので参考にしてください。
特定調停のメリット
- 特定調停は費用が安い
- 金融業者からの取立が止む
- 手続きを裁判所が教えてくれる
- 借金の理由は問われない
- 財産を手放す必要がない
特定調停は費用が安い
特定調停は申し立て費用も債権者1人について500円の手数料と予納郵券で済みます。
裁判所を通して行う債務整理の方法としてはかなり費用が安いですよね。これは大きなメリットだと思います。
さらに特定調停は基本的に弁護士事務所や司法書士事務所に手続きを依頼することなく行う債務整理方法なので、事務所への依頼費用も節約することができるというメリットがあります。
特定調停以外の債務整理方法は、弁護士や司法書士に依頼することが前提なので、依頼費用の必要なく手続きできるというのは、お金の問題を抱えている状況だと非常にありがたいことだと思います。
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特定調停の手続費用の相場【手続きに必要な費用と資料】
特定調停の手続きでは簡易裁判所に申立てて借金整理を行う債務整理の手続き方法になります。特定調停を申立てることができるのは特定債務者になっています。 特定債務者は金銭債務を負っている者であって、支払不能 ...
取立が止む
貸金業者などからの債権者からの取立が止みます。
特定調停の場合は手続きの申し立てを行うことで取り立てをストップすることができますが、申し立てを行うまでの準備の段階では取り立てをストップできないので注意が必要です。
弁護士や司法書士に手続きを依頼する債務整理を利用すれば、借金の取り立ては最短で即日ストップすることができるので、取り立て時期なら圧倒的に弁護士や司法書士に依頼する債務整理の方が有利です。
とは言っても時期は遅くても特定調停も取り立てをストップすることはできるのでメリットとして挙げさせてもらいました。
手続きを裁判所が教えてくれる
申し立てなどの手続き方法が分からない場合には裁判所の書記官に聞けば教えてくれます。
全くの素人が裁判所で手続きを行う特定調停を利用することができるのかと不安に思うかもしれないですが、裁判所である程度の手続き方法について説明してくれるので、問題なく手続きすることはできると思います。
他の債務整理方法とは違って特定調停は自分で行うことが前提の債務整理方法なので、手続きのやり方については配慮されています。
借金の理由は問われない
特定調停の利用を検討している方の中には、ギャンブルや浪費、株やFX・仮想通貨などへの投資によって借金を作ってしまった方もいると思います。
こういった借金理由だと、裁判所で行う特定調停で借金を整理することができるのか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
実際に自己破産だとギャンブルや浪費、投資などのような借金理由による借金だと、免責不許可事由という要件に引っかかってしまって、自己破産できない可能性があります。
しかし特定調停はこういった借金理由でも手続きすることができるので、借金理由を気にすることなく利用することができます。
財産を手放す必要がない
特定調停の場合には破産者になることもなく、財産を手放す必要がないです。
ただ借金が免責される自己破産とは違って、特定調停で合意した分の借金は残るということは理解しておきましょう。
しかし債務整理で借金を減額しても資産がそのまま残るというのは大きなメリットです。
自動車や持ち家などの高額資産は自己破産だと精算対象になってしまいますが、特定頂戴とこういった重要な資産を手元に残したままで借金を減らせるので大きなメリットだと思います。
特定調停のデメリットとは
特定調停の申立てをすると2週間から3週間後に申し立てた簡易裁判所から調停期日の呼び出し状が送られてきます。
この呼び出し通知を持って調停期日に出頭すると調停委員会で特定調停についての話し合いがされていきます。
この特定調停の調停期日は最低でも2回はあって、特定調停の相手方が多い場合には話し合いがまとまらなくて、場合によっては3回以降も調停が行われていく場合もあります。
そうなると特定調停の申立人はその都度裁判所に行くことになります。こういったところが特定調停のデメリットになってくると思います。
特定調停のデメリット
- 特定調停は裁判所の呼び出しに応じないと罰金
- 過払い金がある場合は別途手続きが必要
- 調停が成立しないことがある
特定調停は裁判所の呼び出しに応じないと罰金
特定調停の裁判所での調停は最低でも2回ありますが、具体的にその2回でどのようなことを行うのでしょうか。
第1回目の調停では調停委員より債務者の生活状況や今後の返済計画など、調停委員が債権者と話し合う上で必要な事項について聞かれることになります。
とは言っても聞かれることの多くは特定調停の申し立て書に記載した事項の確認や補足的な情報を聞かれるくらいなので、事実をそのまま答えれば問題ないと思います。
第2回目の調停では通常は債権者を交えた話し合いになります。話し合いとは言っても調停委員が主導権をとりますので、口論するなどのことはなく、調停委員の案に従って進行することになります。
この特定調停の調停では、裁判所からの呼び出しに対して正当な理由なく出頭しないときには、5万円以下の科料の制裁があり、こういったところはデメリットかもしれないですね。とは言っても普通に出頭すればいいので問題はないと思います。
ちなみに債権者側がヤミ金業者などの場合には、調停を申立をすることが恐ろしいと思うかもしれないですが、法律違反の事実が判明することを恐れて、一切の債権債務がない旨の上申書を提出してくることもあるので意外と有効かもしれないですね。
過払い金がある場合は別途手続きが必要
特定調停は過払い金があっても考慮されずに手続きすることになるので、過払い金があるようなケースだと別途手続きが必要になってきます。
同じような債務整理方法である任意整理の場合だと、手続前に弁護士や司法書士が過払い金を調べてくれて、過払い金返還請求をしても残る借金について任意整理手続きするというのが一般的です。
そのため特定調停を利用する場合には事前に過払い金があるか調べてから利用したほうがいいかもしれないですね。
調停が成立しないことがある
特定調停は手続きすれば必ず成立するという債務整理方法ではなく、債権者が同意しないと調停が成立しないというデメリットがあります。
これって結構大きなデメリットで、素人の個人が金融業者などの債権者を相手に交渉で合意を認めてもらわないといけないということになります。
仲介役である裁判所は必ずしもこちらの味方というわけではないですし、そもそも調停員が債務整理の専門家ではないことも普通にありえます。
そのため調停の成功率は低く、特定調停を利用する方は少なくなってきています。
特定調停後に話し合いが成立すると調停調書が作成される
特定調停で上記のような2回の調停で話し合いが成立した場合には、調停成立になります。
調停が成立すると調停調書が作成されることになります。これは判決と同等の効力があり、調停で合意したとおりに返済しないと、債権者は債務者の財産に対して強制執行をすることができます。
そのため合意するに際してはその金額が返済可能かどうかを再度検討することが必要になってきます。こういった強制力の強さは債務者にとってはデメリットになるかもしれないですね。
ちなみに特定調停の話し合いで、合意できない場合には調停不成立になります。
ただ裁判所は調停委員会の意見を聞いて、調停の結果から相当と考えられる時に「調停に代わる決定」を出すことができます。
特定調停の終局結果を見てみるとこの「調停に代わる決定」が半数以上を占めているので、意外と調停での話し合いが不成立になることが多いということがわかります。
この「調停に代わる決定」は異議の申し立てがあると失効します。
ちなみに調停が不調に終わってしまった場合でも、任意整理や自己破産などの別の債務整理方法で借金整理を行うことができるので心配しないようにしましょう。
ちなみにどの債務整理方法が適しているかは弁護士や司法書士の借金の無料相談を利用するようにするといいです。